<< いそがしす | main | 創作覚書まとめ >>
うつりゆくひと 一
「…だから、やっぱりうまくいかないなあって、ね。」

「…悩まずともよいであろ。 組織とはそういうもんじゃ。 それで凹んでいてはお主、ずっとそのままじゃぞ?」
「だよね…  はぁぁぁぁ。 ごめんねミリル なんかもう愚痴ばっかりで。」

「気にするでない。そんなもん、とうに知っておるわ。 ほれ、撫でてやろ」

「また子ども扱いして… …でもありがと。安心するよ。」

「あはは。 そりゃ子ども扱いされてもしょうがないさ。」

「んー…」

「何じゃ?不満か?」

「……不満。」

「ならやめておこうか?」

「…そうじゃなくて。」

「では何じゃ?煮えきらん言い方をするのう。」

「子供じゃなくて、ちゃんと見てくれないの?」

「じゃからこの間もいうたじゃろーが。 わらわは年寄りじゃと。年寄りに若々しい感情を求めても、せんなきことじゃ。」

「でも、諦めきれないんだよ。僕は。 …ねえ、僕は君より先に死なない。…約束する。今まで君が見届けてきた辛さは、僕にはカケラも理解できないのかもしれない。けど…」

「…」

「けど、少しでも、理解したい。このまま、ずうっと一人でいるの?」

「そうじゃ。」

「…寂しいよ。」

「そんなもん、知っておる。じゃがわらわに死はない。老いすらない。お主は真っ当に置いて、死ぬ。老いる喜びを共に感じることは無い。 …無駄じゃよ。ちゃんと真っ当な娘を好くがよい。」

「でも…」

「お主が… いや、お主でなくても、そんな感情をもつのはこの見てくれのせいじゃ。やめておけ。花は散るから美しいと言うじゃろ。」

「…」

「ま、少々きつく言い過ぎたが…気持ちは嬉しいよ。 でも今のおぬしは、それより仕事じゃ。次こそちゃんとこなさねば、のう?」

「…そう…だね。うん。  …でも僕は諦めない。次の仕事はうまくやるから、見ててよ… 何度でも言う。僕は、君だけなんだから。」

「わかったわかった。 ほれ、もう行け。休憩時間ギリギリじゃぞ?」

「えっ… うわ、ヤバ。 ありがとミリル!!また明日!!」

「はいはい。」




| 創作覚書 | 00:49 | comments(0) |
コメント
コメントする