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うつりゆくひと 四
「…なんじゃ お主かえ。久々じゃな。 何もそんなに気配を消して来ることはなかろうて。」

「ふふ、突然来てごめん。 …ごめんね、最近会えなくて…」

「よい、気にするな。ある程度の役職につけば、忙しくなって当然じゃ。 今のお主は仕事を優先させねばならん立場じゃろ?」

「あはは。そんなこと、昔も言われたね…まだまだ下っ端で、落ち込んでた頃。」

「そうじゃったかのう?」

「そうだよ。 …ねえミリル。 寂しかった?」
「ああ、寂しかったよ? ま、お主が期待する寂しがり方ではないがのう」

「そうかぁ…」

「そうじゃ。で、今日は何用じゃ?立ち話もなんじゃろ。」

「ん、 会ってなかったから顔みたくてね。」

「お主、重役がそんな理由で抜け出して良いのかえ?」

「うん。休暇とった。君といたくて。 抱きしめたいなあって。」

「わざわざ…  ま、嬉しいかのう。茶でも入れるよ。おいで。」

「…ふふ。」

「何じゃ?」

「なんだかミリル、可愛くなったね。」

「…唐突じゃのう 久々に見たからではないかえ?」

「あ、きっついなあ。 でも寂しかったんだ。」

「…まあの」

「あはは。 …ごめんね 待たせて。」

「…たまに来れば良いさ。」

「ん。 もっと…くるようにするよ。」

「ムリはするでないぞ。 …ベルガモットとジャスミン、ウバでミルクティー。どれが良い?」

「ジャスミンかな。 …ありがとう」

「良い。それで?」

「…?」

「今日は何用じゃと聞いておるのじゃよ。」

「君に逢いに来…」

「ごまかすなよ。それだけではなかろう。…何年お主を見ていると思うておるのじゃ」

「…」

「…別に怒っておらぬ。何じゃ?何か困りごとでもあったか?」

「隠せないね、君には。 …不老不死には、どうやってなれるのかって。」

「…。 何を…言っておる?」

「いきなりでごめん。でも変な意味じゃなくて…その…」

「…。」

「君と歩…」

「阿呆な事は考えるでない。お主の言う「救い」がそれか?」

「…」

「…茶はお預けじゃ。 今日は帰るが良い。」

「ミリル」

「帰れ。力ずくで追い出すぞえ。 わらわに勝てるとでも思うか?」

「… ごめん。 帰るよ… そんなつもりじゃなかった。ごめん…」

「…」

「…また、今度…    愛してる ミリル」

「…」







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「…頭を冷やすが良い… あ奴は阿呆じゃ…」





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「愛してはいるんだけどな…    …ミリルから聞くのは…無理か。」








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